手話で「来月」を表現するコツ|今月・先月との違いや由来をプロが解説
手話でスケジュールや約束を伝える際、頻繁に登場するのが「来月」「今月」「先月」といった時制に関わる言葉です。手話学習を始めたばかりの方の中には、「カレンダーの日付を指文字で表すべきなのか」「数字の手話単語をどう動かせば来月になるのか」と戸惑うケースが少なくありません。手の位置や動かす方向を少し間違えるだけで、過去と未来の意味が逆転してしまうこともあります。
手話における「月」や「来月」の表現は、人間の視覚的な時間の流れやカレンダーの配置という明確な由来に基づいています。仕組みさえ論理的に理解できれば、無理に丸暗記しなくても一度で直感的に身につけることが可能です。本記事では、手話技能検定の頻出単語でもある「来月」の正しい手の動かし方、今月・先月との決定的な違い、初心者が陥りやすいミスまで、現場の視点から詳しく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「来月」は左手で作った「月」の形から、右手(人差し指)を前または斜め前へ進めることで未来を表現する。
- 要点2:時間の軸(過去=手前・後方、現在=自分の中央、未来=前方)とカレンダー空間を理解すれば「先月」「今月」「再来月」も一気に覚えられる。
- 要点3:指文字の「つき」をそのまま使うのではなく、単語としての「月」の概念と方向性を連動させることが自然な日常会話の鍵となる。
【基本の動き】手話で「来月」を正確に表現する方法と由来の秘密
手話における「来月」の表現方法は、視覚言語ならではの合理的な構造を持っています。基本の構えは、まず非利き手(通常は左手)で「月」を表す形を作り、利き手(右手)の人差し指を時間軸に沿って前方へ移動させる動作です。
具体的には、左手の人差し指と親指で三日月のようなカーブを作る、あるいは指を揃えて三日月の輪郭を描く「月(カレンダーの月)」のサインを自分の胸の前にセットします。そこに右手の人差し指を添え、「現在」の位置から「1つ先の未来」へ向かって前方にスッと押し出すように動かします。これが「来月」の標準的なサインです。
この表現の由来は、「カレンダーを1枚めくって次の枠に進む感覚」と「自分から見て前方が未来であるという空間概念」の2つが融合したものです。手話では、自分の体が「現在(今)」の基準点となります。自分より手前・背中側が「過去」、体の真正面が「現在」、そして前方へ突き出す空間が「未来」を意味します。したがって、「月」のベースに対して指を前へ進めるだけで、「次の月=来月」という意味が成立する仕組みです。
【一覧比較】「今月・先月・来月・再来月・毎月」の違いと手の動かし方
日付やスケジュールをスムーズに伝えるためには、「来月」単体だけでなく、前後の時制表現とセットで空間の使い分けを整理しておくことが不可欠です。以下に、日常手話会話および手話技能検定で必須となる月関連の基本表現をまとめました。
| 表現項目 | 手の基本形と動かし方 | 空間と方向のルール | 現場での重要度・検定基準 |
|---|---|---|---|
| 先月(せんげつ) | 「月」の形を作った位置から、人差し指を手前(後方・肩側)へ引く | 過去を表すため、手前・後ろ方向へ移動 | 手話技能検定5級〜6級の必須基本単語 |
| 今月(こんげつ) | 「今(両手の手のひらを下に向けて下ろす)」+「月」、または胸の前で「月」を固定して下へ軽く落とす | 現在を表すため、体の直前・足元方向へ固定 | 最頻出単語。日常会話のベースとなる表現 |
| 来月(らいげつ) | 「月」の位置から、人差し指を前(未来方向)へ1段階スッと出す | 未来を表すため、正面・前方へ移動 | スケジュール調整、予定確認で必須の表現 |
| 再来月(さらいげつ) | 「来月」の動作から、さらに指をもう一段階前へピョンと出す(2段階移動) | 2ヶ月先の未来を表すため、前方に2回弧を描く | 手話技能検定4級レベル。カレンダー2コマ分の意識 |
| 毎月(まいつき) | 「月」のサインを横(または斜め下)に等間隔でリズミカルに繰り返し移動させる | カレンダーのマスを連続してなぞる動き | 習慣・ルーティン・支払いの会話で多用される |
このように表で比較すると、手の動かし方が「過去(手前) ← 現在(中央) → 未来(前方)」という一直線のタイムライン上に完全に連動していることが分かります。「再来月」の覚え方も難しくありません。来月の位置から「もう1つ先の枠へ進める」ように2回前へ出すだけで、直感的に2ヶ月先を相手へ伝えられます。
初心者がやりがちな3大ミスとネットの誤解を徹底検証
初心者向け手話単語としてテキストに掲載されている「来月」ですが、実際の講習会やろう者との会話では、不自然な動きになってしまっているケースが散見されます。特に多い3つの誤りを検証します。
1つ目のミスは、「指文字」と「手話単語」の混同です。手話を覚えたての方がやりがちなのが、五十音の指文字で「ら・い・げ・つ」と一文字ずつ綴ってしまうケースです。固有名詞や専門用語を伝える際には指文字が使われますが、「来月」のような一般的な暦表現を指文字で表すと、読み取りのテンポが著しく落ち、不自然な会話になってしまいます。概念を表す手話単語を正しく使いこなすことが大切です。
2つ目は、「数字(1月〜12月)」の表現との混同です。例えば「来月」と言いたい場面で、仮に現在が4月だからといって「5月」という単語だけをポンと出してしまうミスです。間違いではありませんが、文脈によっては「5月に会いましょう」という特定月の日程指定になり、「来月中にどこかで」というニュアンスが抜け落ちてしまいます。「来月」という時制そのものを指す単語と、特定の「〇月」を指す数字表現は明確に使い分けなければなりません。
3つ目は、手の移動方向の逆転です。緊張のあまり、来月と言いながら手を自分の胸元(手前)に引き戻してしまう初心者が多く見られます。これは「先月」の意味になってしまい、約束の期日が過去になってしまうため、致命的なコミュニケーションエラーを引き起こします。「未来は前へ進む」という身体感覚をしっかりと体に覚え込ませることが重要です。
【実態検証】日常手話会話でスラスラ使える日付・スケジュール表現
実際の日常会話では、「来月」という単語単体で終わることは稀であり、具体的な日付や曜日、時間と組み合わせて運用されます。現場のろう者が使う自然な文脈の組み立て方を見ていきましょう。
例えば、「来月の15日に会議があります」と表現する場合、手話の語順は視覚的な情報整理の原則に従います。まず時間という大きな枠組みを提示し、その後に詳細な日付、事象を配置するのが一般的です。
【実践的な表現順序】
「来月」 ➜ 「15日(数字の15+日のサイン)」 ➜ 「会議・話し合い」 ➜ 「ある(決定)」
このように、大きな時間概念から小さな数字へとズームインしていく語順を意識すると、相手にとって非常に読み取りやすい綺麗な手話になります。また、「毎月の第2火曜日」と言いたい場合には、「毎月」のサインを出した後にカレンダーの第2週を指し示し、「火曜日」を重ねる表現が使われます。手話の日付・カレンダー表現は、頭の中に実際の月間カレンダーを思い浮かべ、そのマス目を相手と共有する意識を持つと一気に上達します。
手話技能検定での出題傾向とプロが教える効率的な覚え方
手話技能検定(手検)や全国手話検定試験において、時制・暦に関する単語は確実に出題される得点源です。特に5級・6級の基本単語試験や、4級の実技・短文読み取り試験では、「先月・今月・来月・去年・今年・来年」の組み合わせが頻繁に登場します。
検定試験で高評価を得るためのポイントは、手の形(指の形)の正確さだけでなく、「顔の表情(NMM:非手指標識)」や「視線」の連動にあります。単に手を前に出すだけでなく、少し未来を見据えるように視線を前方に送ったり、疑問文(「来月ですか?」)の際には眉を上げて相手に問いかける表情を作ることが合格への近道です。
【プロの結論】効率的に身につく人と挫折しやすい人の決定的な違い
手話の日付表現を短期間で完全にマスターできる人は、「手の形」ではなく「空間の座標軸」で覚えるという特徴があります。「来月=この手の形」と機械的に暗記しようとすると、先月や来年と混ざって混乱してしまいます。一方で挫折しにくい人は、「自分の正面が今、前が未来、後ろが過去」という3次元のルールを体感として理解しています。この軸さえ頭に定着すれば、来週・再来週、来年・再来年といった他のあらゆる時制表現も自動的に使えるようになります。
【来 月 手話】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:手話の「来月」をイラストや動画で確認したい場合、どの点に注目して見れば良いですか?
A1:イラストや動画を見る際は、「静止した手の形」だけでなく「手の始点と終点(どこからどこへ動いたか)」の軌跡に注目してください。イラストでは矢印の向き、動画では人差し指が前方へスッと出るスピード感と止まる位置を確認すると、正しいニュアンスが掴めます。
Q2:地域による方言や、世代による表現の違い(バリエーション)はありますか?
A2:基本となる「月+前方への移動」は全国共通で通じる標準的な手話表現です。ただし、一部の地域や年配のろう者の間では、カレンダーをめくる仕草をより強調した動きや、数字の「1(ひとつ先)」を前に押し出す表現を組み合わせるなど、微妙なニュアンスの差が見られる場合があります。基本形を押さえておけば問題なく通じます。
Q3:「来年」と「来月」の手話表現はどこが違いますか?
A3:手の動かし方の方向(前方へ出す)は同じですが、ベースとなる「基準の形」が異なります。「来月」は左手で作る「月」を基準に指を前へ出しますが、「来年」は握りこぶしや数字の「1(または年のサイン)」を使って前方へ倒す・突き出す動作を行います。「月」と「年」のサインの土台をしっかり区別することがポイントです。
まとめ:カレンダーの空間イメージを掴めば手話の日付表現は一生モノ
手話で「来月」を表す動作は、単なる記号の暗記ではなく、人間が時間を空間として捉える自然な感覚に基づいた合理的な表現です。自分の体を「現在」とし、前方の未来へ向かってカレンダーの枠を1つ進めるというイメージを持てば、迷うことはありません。
「先月」「今月」「来月」「再来月」は、すべて1本のタイムライン上で繋がっています。日常会話や手話サークル、検定試験の場でも、この空間概念を意識しながら、ぜひ積極的に実際の会話で活用してみてください。 (出典: 来 月 手話(Yahoo!ニュース))