大谷翔平も使ったマンダラチャートの作り方|81マスで目標達成する実践法
年始に立てた目標やキャリアの抱負が、数カ月後には形骸化してしまう——こうした悩みを抱える人は少なくありません。目標が絵に描いた餅で終わる最大の理由は、達成に必要な行動が細分化されておらず、日々のルーティンにまで落とし込めていない点にあります。この課題を打破する思考フレームワークとして、国内外のビジネスパーソンやアスリートから圧倒的な支持を集めているのが「マンダラチャート(9マス思考法・81マス目標シート)」です。
ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が岩手・花巻東高校時代に作成し、前人未到の記録を打ち立てる原動力となったことでも広く知られています。本稿では、目標達成率を劇的に高めるマンダラチャートの正しい作り方から、挫折を防ぐ書き方のコツ、ビジネスや日常で即使える具体例、エクセルや無料アプリの活用法まで、編集部が徹底取材をもとに体系的に解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:マンダラチャートは中心の「大目標」を8つの「中目標」、さらに64の「具体的行動」へと分解する81マスの強力な思考フレームワーク。
- 要点2:大谷翔平選手の事例では技術や体力だけでなく「運」や「人間性」など行動・心のあり方まで網羅したことが大成の分岐点となった。
- 要点3:エクセル・PDF・アプリなど自らに合ったツールを選び、日々の行動レベルまで解像度を上げて定期更新することが達成への決定打となる。
【全体像を掴む】マンダラチャートの基本構造と9×9思考法のメカニズム
マンダラチャートは、1979年に株式会社クローバ経営研究所の松村寧雄氏によって考案されたフレームワークです。密教の「曼荼羅(マンダラ)」の幾何学的な構造に着想を得ており、中心から放射状に思考を広げていくことで、人間の脳の連想力を最大限に引き出す特徴を持っています。
基本構造は、3×3の「9マス」をベースにしています。さらに、その9マスを取り囲むように周囲へ8つのブロックを展開することで、合計「9×9=81マス」のグリッドを形成します。
目標設定において多くの人がつまずく原因は、「願望」と「行動」の乖離です。「英語を話せるようになる」「売上を2倍にする」といった大目標(ゴール)だけを掲げても、今週何をすべきかが曖昧なままでは行動に移せません。マンダラチャートは、この乖離を構造的に解消します。
- 中心の1マス:達成したい「中核となる大目標(Core Goal)」
- 周囲の8マス:大目標を達成するために必要な「要素・中目標(Sub Goals)」
- 外側の64マス:各要素を現実化するための「具体的行動・小目標(Action Plans)」
思考が1枚のシート上に可視化されるため、全体のバランスを俯瞰しながら、個々の具体的なアクションに迷いなく集中できる心理的メリット(認知的負荷の軽減)が生まれます。

【大谷翔平の事例に学ぶ】花巻東高校野球部時代の81マス目標達成シートを徹底解剖
マンダラチャートを一躍世界的に有名にしたのが、大谷翔平選手が高校1年生の冬に作成した大谷翔平目標達成シートです。当時、花巻東高校野球部の佐々木洋監督が指導に取り入れていた「原田メソッド目標設定(元中学校教諭・原田隆史氏が体系化した目標達成技法)」の一環として作成されました。
大谷選手が中心に据えた大目標は、「ドラフト1位 8球団指名」でした。この極めて高い目標に対し、周囲の8マスに配置された要素は以下の通りです。
- 体づくり(サプリメントの活用、柔軟性、スタミナなど)
- コントロール(体幹強化、フォームのブレをなくす、インステップ改善など)
- キレ(リストの強化、回転数を増やす、可動域の拡大など)
- スピード160km/h(下半身主導の投球、軸の安定、体重増加など)
- 変化球(フォークの精度向上、曲がり始めを遅くする、カウントを取れる球種など)
- メンタル(一喜一憂しない、ピンチに強くなる、頭は冷静に心は熱くなど)
- 人間性(愛される人間、計画性、感謝の心、礼儀など)
- 運(ゴミ拾い、部屋掃除、審判さんへの態度、道具を大切に使うなど)
このシートの特筆すべき点は、「球速」や「変化球」といった技術面・フィジカル面だけでなく、「運」や「人間性」という抽象的な領域を行動レベルに落とし込んでいることです。「運は後から付いてくるものではなく、自らの日頃の振る舞いによって引き寄せるもの」と定義し、「ゴミ拾い」「道具を大切に扱う」といった誰もができる実践事項に昇華させました。これが、世界最高峰の舞台でも揺るがない強固なメンタリティと周囲から愛される品格の源泉となっています。
【失敗しない手順】マンダラチャート書き方のコツと3つのステップ
いざマンダラチャートを書こうとすると、「外側のマスが途中で埋まらない」「抽象的な言葉ばかりになってしまう」という壁にぶつかりがちです。挫折せずに実用的なシートを完成させるための3ステップと書き方のコツを解説します。
ステップ1:中心に「具体的かつ情熱が湧く大目標」を設定する
中心のマスには、3年後や1年後に達成したい明確なゴールを書き込みます。ここでは目標設定の王道である「SMARTの法則」(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性、Time-bound:期限)を意識することが有効です。「営業で成果を出す」ではなく、「2026年12月期に個人売上1億2,000万円を達成し全社MVPを獲得する」のように、期日と数値を明確にします。
ステップ2:大目標を支える「8つの構成要素」を全方位から洗い出す
中央の目標を取り囲む8マスに、達成に必要なファクターを配置します。ここで重要なのは、「心・技・体・生活(環境)」のように多角的な視点を持つことです。スキルや売上といった直接的な成果要因だけでなく、健康管理、メンタル維持、人脈づくり、ツールの導入など、土台となる要素をバランスよく散りばめるのがコツです。
ステップ3:外側の64マスに「今日からできる行動(ToDo)」を落とし込む
各要素を外側の3×3マスの中心に転記し、それを達成するためのアクションを8つずつ書き出します。ここで最も重要な書き方のコツは、「形容詞や願望ではなく、動作(動詞)と数字で書く」ことです。「英語を頑張る」ではなく「毎朝7時にシャドーイングを15分行う」、「体調を整える」ではなく「23時30分までにベッドに入り7時間睡眠を確保する」といったレベルまで具体化します。

【ツール別比較】マンダラチャート作成ツールの特徴とおすすめ活用法
マンダラチャートを作成・運用するにあたり、手書きのアナログ手法からデジタルツールまで多様な選択肢が存在します。目的や作業環境に合わせて最適な手段を選択することが継続の鍵です。
| 作成ツール・手段 | 特徴・主な機能 | コスト・導入難易度 | 編集部の見解・おすすめ対象 |
|---|---|---|---|
| 紙・PDFダウンロード | 印刷して手書きで記入。一覧性が高く、直感的な思考整理に最適。 | 無料(用紙・印刷代のみ) 難易度:★☆☆☆☆ | 思考の初期段階や、デスクの壁に貼って毎日視界に入れたい初学者に最適。 |
| エクセル / スプレッドシート | 修正やセルの連動が容易。進捗率の計算やチェックボックス追加も可能。 | 無料〜Office契約 難易度:★★☆☆☆ | ビジネスパーソン向け。クラウド上で進捗管理やチーム共有を行いたい場合に推奨。 |
| 専用スマホアプリ | マスのタップで階層移動、通知機能、ToDo連携などモバイルUIに特化。 | 無料(一部アプリ内課金あり) 難易度:★☆☆☆☆ | 移動中や隙間時間に進捗を確認・更新したい多忙な現代人にベストマッチ。 |
現在では公式・非公式を含め、多数のマンダラチャートテンプレート無料データがWeb上で配布されています。まずはA4用紙1枚のマンダラチャートPDFダウンロードから手書きでブレインストーミングを行い、完成した内容をマンダラチャートエクセルやスマホアプリに移行して日常運用するというハイブリッド手法が最も定着率を高めます。
【ビジネス&日常の具体例】仕事・資格・キャリアで使える実践モデル
マンダラチャートはスポーツ選手だけでなく、ビジネスの現場における業績向上や新規事業の立ち上げ、個人の資格取得など幅広い分野で威力を発揮します。ここでは代表的な2つの活用パターンを紹介します。
ビジネスマンダラチャート例:営業マネージャーの業績達成シート
中央目標を「自組織の年間売上目標3億円達成&顧客満足度95%」とした場合の中目標と小目標の展開例です。
- 新規開拓:ターゲット企業のリスト精査(週30社)、インバウンド導線の改修、紹介キャンペーンの設計
- 既存深耕:主要クライアントへの四半期レビュー実施、アップセル提案書の標準化、定期訪問の徹底
- 組織育成:1on1ミーティングの週次開催、商談同席によるOJT、社内ナレッジ共有会の月次開催
- 業務効率化:SFAツールの運用徹底、定型業務の自動化(RPA)、無駄な会議の30%削減
- 顧客価値向上:納品後アンケートの実施、ユーザー勉強会の開催、CS対応スピードの短縮
- 商品力強化:現場の改善要望を開発チームへ月次フィードバック、競合他社リサーチの定例化
- メンタル&健康:有休取得率80%維持、残業月20時間以内、部下の心理的安全性の確保
- リーダーシップ:ビジョンの言語化と発信、経営層との折衝力強化、月2冊のマネジメント本読破
自己投資・資格取得の具体例:TOEIC 850点突破シート
「6カ月後の公開テストでTOEIC 850点を取得する」を中心目標に置いた場合、「リスニング強化」「語彙力(単語)」「文法・構文」「公式問題集演習」「学習時間の確保」「モチベーション維持」「体調管理」「試験当日の戦略」の8要素に分解し、日々のルーティン(「通勤電車で単語帳10ページ」「毎晩Part5を20問解く」など)へ展開します。

【実態検証と誤解の是正】作って満足する「形骸化」の罠と行動科学的アプローチ
マンダラチャートの導入企業や個人から頻繁に聞かれるのが、「81マスを埋めるのに満足してしまい、結局何一つ実行されなかった」という挫折の声です。思考整理フレームワークとしての完成度が高いがゆえに、作成自体がゴールになってしまう認知的落とし穴が存在します。
形骸化を防ぐためには、行動科学および習慣化の観点から以下の3つの心理的アプローチを組み込む必要があります。
- トリガーとセットにする(If-Thenプランニング):「朝起きたら」「昼食を食べ終えたら」といった既存の日常行動とマンダラチャートの小目標を接続します。
- 進捗の可視化:完了したマスに蛍光ペンで色を塗る、またはエクセル上で進捗バーを動かすことで、脳内にドーパミン(達成報酬)を分泌させます。
- 四半期ごとの見直し(リファクタリング):一度作成したチャートは固定化せず、状況の変化に応じてマス目を柔軟に書き換えます。状況に合わなくなった目標を残し続けることこそがモチベーション低下の最大要因です。
【プロの結論】マンダラチャートが向いている人・慎重になるべき人の判断基準
本手法は万能ではなく、個人の思考特性によって適性が分かれます。
【向いている人の条件】
- 達成したい明確な大目標(資格取得、売上向上、競技での勝利など)が定まっている人
- やるべきことが多すぎて頭の中が散乱し、優先順位を見失っている人
- ロジカルに物事を分解し、毎日のルーティンに落とし込んでコツコツ継続するのが得意な人
【慎重になるべき人の条件】
- 現時点でやりたいことや目指す方向性が定まっておらず、模索段階にある人(マスの強制的な穴埋めが苦痛になるリスク)
- 細かなルールやタスク管理に縛られるとクリエイティビティや意欲が減退する直感型タイプ(まずは3×3の9マス思考法から小さく始めることを推奨)
【マンダラ チャート 作り方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:81マスがどうしても全部埋まらない場合はどうすればよいですか?
A1:無理に初日で81マス全てを埋める必要はありません。まずは中目標の8要素を出し、思いつく小目標から埋めていきましょう。空白のマスは「これから見つけるべき課題」として残しておき、日々の業務や読書、周囲への相談を通じて徐々に埋めていくアプローチが最も現実的で効果的です。
Q2:大谷翔平選手のように「運」をマスに入れるべきですか?
A2:ビジネスや個人の目標でも大いに有効です。「運」とは偶然を待つことではなく、「他者への誠実な態度」「挨拶」「約束を守る」「身の回りの整理整頓」といった、信頼関係を築きチャンスを逃さないための基盤行動を指します。自身の人間力を磨く要素として取り入れることをおすすめします。
Q3:エクセルと手書きの紙、どちらで作るのが効果的ですか?
A3:作成初期のブレインストーミングや目標の定着化には「手書きの紙」が勝ります。手を動かすことで記憶とコミットメントが強まるためです。一方、チームでの進捗共有や日々の数値管理、長期的な更新には「エクセルやクラウドスプレッドシート」が適しています。初期作成を手書きで行い、完成版をデジタル化して管理するのが理想的です。
まとめ:思考を81マスに解き放ち、目標を行動へと変換する
マンダラチャートの本質は、単なるマス埋めゲームではなく、「曖昧な夢や目標を、誰もが今日から実行できる具体的行動へと変換する翻訳機」である点にあります。大谷翔平選手が世界の頂点に立った背景にも、高校時代に作成したシートに記された一つひとつの泥臭い行動の積み重ねがありました。
どれほど壮大な目標であっても、それを構成しているのは日々の微差の選択です。まずは無料のテンプレートを1枚印刷し、中央のマスに自らの本気のゴールを書き込むことから、確実な目標達成への第一歩を踏み出してみてください。 (出典: マンダラ チャート 作り方(Yahoo!ニュース))